監 修 山中 岳聽
作・構成 井上 岳宝
映 像 山本 清
ナレーター 大嶋 岳青
伴 奏   琴 :生田流秀玉会会長 賀本 玉起
尺 八:都山流師範 神野 天翠
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ナレ:01 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・・・」
あまりにも有名な冒頭で知られる 「平家物語」 仏教の無常観を基調にし、栄華を極めた平家一門の盛者必衰の姿、奢れる平氏が各地にのこした足跡を、映像とゆかりのある詩文で尋ねたいと思います。
一門の隆盛の礎を築いた平家の牙城六波羅、鴨川に架かる五条大橋から京の東、東山三十六峰の麓に広がる洛東は平家一門のゆかりの地である、清盛が六波羅入道と呼ばれる由縁でもあります。
重文、清盛像が安置されている六波羅密寺のみが当時を偲ばせてくれます。
霊 山

三十六峰雲漠々
洛中洛外雨紛々
破トウ短褐来って涙を揮う
秋は冷ややかなり殉難烈士の墳


ナレ:02 京の西側に位置する嵯峨野・嵐山、いわゆる洛西と呼ばれる地。
当時の都人達にとっては世俗とかけ離れら隠棲の地でした。清盛の傲慢さや冷淡さから京都を逃れてこの地で涙した女性・・・・・・。
高倉天皇の寵愛を受け、清盛の怒りをかった、琴の名手 小督の局もその一人です。
  小督の局」 松口 月城

月は清嵯峨野の辺

聴き得たり琴の音戸を隔てて伝うるを

無限の哀愁無限の思い

悲歌一曲人をして憐れましむ
  松 風 の」 読み人知らず

松風の 吹き来る嵯峨野の 奥知れず

      尋ぬる人の 調べたよりに

松風の 吹き来る嵯峨野の 奥知れず

      尋ぬる人の 調べたよりに

ナレ:03 清盛が愛した白拍子、祇王、仏御前を祭る祇王寺 洛西が人々を魅了して止まないのは、その美しい景観と翻弄された女性達の哀話が散りばめられているからでしょう。
ここで、佐賀のを詠んだ和歌を聞いて頂きます。
  牡 鹿 啼 く」 藤原 基俊

牡鹿啼く この山里の さがなれば

      悲しかりけり 秋の夕暮れ

牡鹿啼く この山里の さがなれば

      悲しかりけり 秋の夕暮れ
  奉母遊嵐山」 頼 山陽

嵐山に到らざること已に五か年

万株の花木倍す鮮妍

最も忻ぶ阿母と衾枕を同にし

連夜香雲暖かき処に眠る

ナレ:04 京の奥座敷と呼ばれる洛北。当時洛西以上の遠隔の地であり、大原は寂光浄土の聖地でした。
清盛の子として生まれ、高倉天皇に嫁ぎ安徳天皇を産み、壇ノ浦にて安徳帝と共に入水するも海底から引き戻され、心ならずも生きながらえ、自らの往生と平家一門の菩提を願い、短い悲しみの生涯を閉じた侘び住いの寂光院、苔むした建礼門院の歌碑が寂しさをさそいます。
  こ ろ こ ろ と」 建礼門院

ころころと 小石ころがる 谷川の

      河鹿なくなる 落合の滝

  ころころと 小石ころがる 谷川の

      河鹿なくなる 落合の滝

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