かす さん かい
大槻 磐渓
享和元 (1801) 〜 明治十一 (1878)

春日山頭鎖晩霞

??嘶罷有鳴鴉

憐君獨賦能州月

不詠平安場外花
かす 山頭さんとう ばん とざ
りゅう いなな んでめい めい
あわ れむきみひとのう しゅうつき して
平安へいあん じょう がいはなえい ぜざりしを

越後の春日山は空しく晩霞でとざされ、往年の駿馬の鳴き声も今は聞くよしもなし、ただ鳥だけが鳴くばかりである。
謙信が全国制覇を志して、能登にまで遠征し、その月に一詩を賦したものの、あわれ、天下を平定して平安城下の花を詠ずるの初志を達することが出来なかったことは誠に残念なことであった。