歴史の舞台に登場する母の姿も、わが子を思う心は今と変わる事はありません。
源氏の将、源義朝の愛を受け三人の母となった常盤御前、だが、その幸せは長くは続きませんでした。
義朝が平治の乱で平清盛に敗れた為、常盤は幼子達を連れ、降りしきる雪の中を平氏の追討から逃れねばなりませんでした、
女の身を捨て、三人の幼い我が子の命を必死に守り通した彼女の母の愛が、やがて源氏再興を可能にしたのです。

   常盤雪行
        
梁川星巌

雪は笠檐を圧して風は袂を捲く

呱々乳を覓むる若為の情ぞ

多年鉄枴峰頭の嶮

三軍を叱咤せしは是れ此の声