~ ~ 『 寅 の 読 書 室 Part Ⅶ-Ⅸ』 ~ ~

 
== 『日 本 国 紀 (下)』 ==

著 者:百 田 尚 樹
発 行 所:幻 冬 舎 文 庫
 
 
 
 
 
終章 平成から令和へ
未来の子供たちへ
古代から「日本の歴史」を読者の皆さんとともに見つめてきましたが、ついに私たちが生きる現代「平成」「令和」の時代へと辿り着きました。
この三十年は「歴史」と見るには時期尚早です。いずれ、私の子供や孫たちの世代が振り返り、冷静な評価を下すことになるでしょう。その時の参考の一つになればととの思いで「平成」および「令和」に何が起き、どんな時代であったのかを、この時代に生きた者として記しておきます。
その前にあらためてこれまでの歴史を振り返ってみたいと思います。日本は神話とともに誕生した国であり、万世一系の天皇を仰ぎつつ成長した国でした。『日本書紀』には、天皇は「大御心おおみごころ」、そして我々の先祖である民衆のことは「大御宝おおみたから」と書かれています。日本という国にとって、最高の宝は、この国に住む人々、日本人だったというのです。
日本人ほど平和を愛した民族はありません・他の大陸ではとく起きた、惨たらしい大規模虐殺や宗教による凄惨な争いがなく、人々は海に囲まれた島国で肩を寄せ合い、穏やかに暮らしていました。
ヨーロッパから見れば、極東に位置する日本は長らくその所在さ不明であり、十六世紀に発見された後も、交流は限定され、閉ざされた謎の国であり続けました。その後、欧米諸国が、発達した科学技術を武器に、世界各地を植民地とし、有色人種を支配してきましたが、日本は最後に残された狩場であり。市場でした。
アジア各地が次々と欧米の植民地となり、大国の清でさえ蚕食されていく中、土壇場で踏みとどまって独立を守った日本は、欧米の科学技術を凄まじい勢いで吸収すると、またたくまに世界に躍り出ました。そして明治維新からわずか四十年足らずで大国ロシアを打ち破ります。この勝利が、世界の有色人種にどれほどの勇気を与えたかは計り知れません。
その四十年後、日本は第二次世界大戦で、アメリカを中心とする連合軍に敗れます。百年前、有色人種の最後の砦であった東洋のミステリアスな国も、ついに欧米の力の前に粉砕されたのでした。
しかし日本が敗れた後、アジアの諸国民は立ち上がり、欧米と戦って次々と独立を勝ち取っていきます。その波はアフリカや南米もの及び、世界四大陸で多くの新しい国がぞきぞくと産声を上げました。まさに日本という存在が世界を覚醒させたのです。
もし日本という国がなかったら、世界は今とはまるで違ったものになっていたでしょう。
二十一世紀の今日、世界中で「人種差別は悪である」ということを疑う人はいません。しかし百年前はそうではありませんでした。当時、絶対強者だった欧米列強に向け、初めて「人種差別撤廃」を訴えたのは、私たちの祖父です。日本が世界のモラルを変えたのです。皆さん、どうか、このことを忘れないでほしいのです。
世界は今、再び混迷と暗黒の時代に足を踏み入れつつあります。テロや紛争は日常茶飯事となり、大戦争の恐怖が近付いています。
日本の役割は終ったわけではありません。今こそ日本はかつての先人の偉業を思い出し、世界を平和へ導くために努力をするべきなのです。
2026/03/06
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