~ ~ 『 寅 の 読 書 室 Part Ⅶ-Ⅸ』 ~ ~

 
== 『日 本 国 紀 (下)』 ==

著 者:百 田 尚 樹
発 行 所:幻 冬 舎 文 庫
 
 
 
 
 
朝日新聞が生み出した国際問題
「WGIP洗脳世代」が社会に進出するようになると、日本の言論空間が急速に歪み始めます。そして後に大きな国際問題となって日本と国民を苦しめることになる三つの種が播かれました。それは「南京大虐殺の嘘」「朝鮮人従軍慰安婦の嘘」「首相の靖国神社参拝への非難」です。
これらはいずれも朝日新聞による報道がきっかけとなったものでした。
まず「南京大虐殺」ですが、これは前述したように、昭和四十六年(1971)、朝日新聞で始まった「中国の旅」という連載がきっかけとなりました。まったく事実に基づかない内容だったにもかかわらず、戦後、GHQによって「日本は悪逆非道であった」という洗脳を徹底して受けていた日本人の多くは、この捏造ともいえる記事をあっさりと信じてしまったのです。
当時、朝日新聞が「日本の良心」を 標榜 ひょうぼう し、売上部数が圧倒的に多かったことも、読者を信用させるもととなりました。まさか大新聞が堂々と嘘を書くとは誰も思わなかったのです。さらに当時、マスメディアや言論界を支配していた知識人の多くがこの話を肯定したことが裏書きとなり、本多の記事が真実であったかのように罷り通ってしまったのでした。
日本のこうした反応を見た中華人民共和国は、これは外交カードに使えると判断し、以降、執拗に日本を非難するカードとして「南京大虐殺」を持ち出すようになります。そして五十年後の現在まで、大きな国際問題となって残っています。情けないことに、未だに「南京大虐殺」が本当にあったと思い込んでいる人が少なくありません。今さらながらGHQの「WGIP」の洗脳の恐ろしさがわかろうとおうものです。
朝日新聞が生み出したもう一つの嘘は、いわゆる「朝鮮人従軍慰安婦」問題です。
昭和五十七年(1982)、朝日新聞は 吉田清治 よしだせいじ という男の衝撃的な証言記事を載せました。その内容は、吉田が軍の命令で済州に渡り、泣き叫ぶ朝鮮人女性を木刀で脅し、かつてのアフリカの奴隷狩りのようにトラックに無理矢理乗せて慰安婦にしたという告白でした。この記事は日本中を驚愕させました。
以降、朝日新聞は日本軍が朝鮮人女性を強制的に慰安婦にしたという記事を執拗に書き続けます。朝日新聞は吉田証言だけでも十八回も記事にしています。ちなみに「従軍慰安婦」という言葉は、戦後、元毎日新聞社の 千田夏光 せんだかこう (本名貞晴)らによって広められたまったく新しい造語です。
吉田証言が虚偽であることは早い段階から一部の言論人から指摘されていました。
吉田自身も平成八年(1996)の「週刊新潮」のインタビューで、「本に真実を書いても何の益もない」「事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやっている」と捏造を認めていたのです。ところが、朝日新聞がこの吉田証言に基づく自社の記事を誤りだったと訂正記事を書いたのは、最初の記事から三十二年も経った平成二十六年(2014)のことでした。実に三十二年もの間、朝日新聞の大キャンペーンに、左翼ジャーナリストや文化人たちが相乗りし、日本軍の「旧悪」を糾弾するという てい で、慰安婦のことを何度も取り上げました。これに積極的に関わった面々の中には旧日本社会党や日本共産党の議員もいました。
多くの国民は朝日新聞が嘘を書くわけがないと思い、またGHQの洗脳によって「日本軍んならそいれくらいのことはしただろう」と思い込まされてきたため、「従軍慰安婦の嘘」を信じてしまったのです。「南京大虐殺」と同様でした。
こうした日本の状況を見た韓国も、中華人民共和国と同様、「これは外交カードに使える」として、日本政府に抗議を始めました。朝日新聞が吉田証言を記事にしてキャンペーンを始めるまで、四十年もの間、一度も日本政府に慰安婦のことで抗議などしてこなかったにもかかわらず、です。
韓国の抗議に対する日本政府の対応が最悪ともいえる拙劣なものでした。
平成五年(1993)、韓国側からも「日本政府が従軍慰安婦の強制連行を認めれば、今後は問題を蒸し返さない」という言葉を信じて、日韓両政府の事実上の談合による「慰安婦関係調査結果発表に関する 河野 こうの 内閣官房長官談話」(いわゆる「河野談話)を出し、慰安婦の強制連行を認めるような発信をしてしまったのです。途端に、韓国は前言を翻し、これ以降、「日本は強制を認めたのだから」と執拗に賠償と補償を要求するようになります。これは八十年近く前、大正四年(1945)の「二十一っヶ条要求」のいきさつを髣髴とさせる悪手でした。
もう一つ朝日新聞がこしらえたといえる深刻な国際問題が、「首相の靖国神社参拝に対する非難」でした。
今も、首相の靖国神社参拝を「世界の国々が非難している」という報道を繰り返す新聞がありますが、これは正しくはありません。我が国の首相や閣僚の靖国神社参拝を感情的に非難しているのは、中華人民共和国と韓国のみといっていいでしょう。アメリカや中韓以外のアジア諸国のメディアが今も批判的トーンで靖国参拝を報じるのは、日本と隣国との争いの種になっているから、という理由が大きいのです。もちろん英米メディアの中には靖国神社を「戦争神社」と言い、ここに参る者は「山荘賛美」の極右で「歴史修正主義者」だという論調もありますが、そのほとんどが、1980年代の朝日新聞の報道論調を下敷きにしています。
そもそも中国、韓国の二国は、戦後四十年間、日本の首相の靖国参拝に一度も抗議などして来ませんでした。それまでに歴代首相が五十九回も参拝したにもかかわらずです。
これが国際問題となったきっかけは、昭和六十年(1985)八月十五日に 中曽根康弘 なかぞねやすひろ 首相が靖国神社に参拝した時に、これを非難する記事を朝日新聞が大きく載せたことでした。直後、中華人民共和国が初めて日本政府に抗議し、これ以降、首相の靖国神社参拝は国際問題となったのです。この時、中国の抗議に追従するように韓国も非難するようになりました。
以上、現在、日本と中国・韓国の間で大きな国際問題となっている三つの問題はすべて朝日新聞が作り上げたものといっても過言ではありません。三つの報道に共通するのは、「日本人は悪いことをしてきた民族だから、糾弾されなければならない」という思想です。そのためなら、たとえ捏造報道でもかまわないという考えが根底にあると思われても仕方がないような経緯です。
朝日新聞のこうした考え方は政治的な記事に限りませんでした。平成元年(1989)四月二十日の「珊瑚記事捏造事件」などは同根といえる一例です。これは、朝日新聞のカメラマンが、ギネヅブックにも載った世界最大の沖縄のアザミサンゴに、自らナイフで「K・Y]という傷をつけて、「サンゴ汚したK・Yってだれだ」という悪質な捏造記事を書いたという事件です。記事は日本人のモラルの低下を嘆き、「日本人の精神の貧しさとすさんだ心」とまで書かれています。これは単にスプーク欲しさの自作自演だったとは思われません。その書きぶりは、前記の三事件と同じ「WGIPによる歪んだ自虐思想」が見てとれます。
GHQの推し進めた洗脳政策は、戦後、多くの日本人の精神をすっかりねじ曲げてしまったといえますが、驚くべきことに、占領後は朝日新聞社を代表とするマスメディアが、GHQ洗脳政策の後継者的存在となり、捏造までして日本と日本人を不当に叩いていたのです。さらに不思議なことはこの新聞が、戦後長らく「クオリティーペーパ」といわれてきたということです。 「クオリティーペーパ」とは「エリート階層を読者とする質の高い新聞」という意味ですが、はたしてこの称号を与えたのは誰だったのでしょうか。それは戦後の公職追放の後に、言論界を支配した者たちでした。
2026/02/25
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