~ ~ 『 寅 の 読 書 室 Part Ⅶ-Ⅸ』 ~ ~

 
== 『日 本 国 紀 (下)』 ==

著 者:百 田 尚 樹
発 行 所:幻 冬 舎 文 庫
 
 
 
 
 
華族制度の廃止
GHQによって廃止されたものに「華族」があります。
華族とは元公家や、江戸時代の大名家、そして維新の功労者がヨーロッパ風の爵位を受けた貴族でした(爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の五つ)
華族には様々な特権が与えられました。たとえば、第三者から財産を差し押さえられない「華族世襲財産法」があり、財産はそのまま世襲されました。子弟は帝国大学に欠員があれば、無試験で入学出来ました。その他にも様々な優遇措置がありました。
華族の女性は、当時の庶民にとっては芸能人のような存在で、雑誌などには華族の夫人や娘の写真がしばしば掲載され、不倫、駆け落ち、心中、あるいは不純異性交遊などのスキャンダルが新聞や雑誌を賑わせました。
「四民平等」が謳われた中で様々な特権が認められていた華族ではありましたが、昭和二十二年(1947)に施行された日本国憲法の十四条によって廃止となりました。
これもGHQでなければ廃止は難しかったに違いありません。余談ですが、自身が男爵であった幣原喜重郎首相は、「存命中に限り、華族でいられる」という内容の条項を入れることにこだわったといわれていますが、議会によって拒否されました。
また戦後、宮家(旧皇族)が功績離脱しましたが、これはGHQによって皇室財産が国庫に帰属させられたためです。経済的基盤を失った宮家の多くが従来の規模で家を維持出来なくなり、最終的に十一の宮家が皇籍を離脱しました。ちなみに十一宮家の多くは皇室の男系子孫であり、これがなくなったために、七十年後の現在、日本の歴史とともに続いていた「万世一系」の危機が訪れようとしています。
コラム-23
連合軍の中には、昭和天皇を戦争犯罪人として裁き、皇室を廃してしまおいうとする考えも存在しましたが、その政策は採用されませんでした。これはマッカーサーが昭和天皇の人間性に敬服したためという一面もありましたが、それだけではありません。
もし天皇を処刑すれば、日本の占領統治に大混乱をきたすと、GHQが判断したからです。彼らは、最悪の場合、日本人が死に物狂いの抵抗をしてくるかも知れないと恐れたのです。
アメリカ軍は、硫黄島や沖縄において日本兵の凄まじい戦いぶりを目の当たりにしていました(二つの戦いでは、アメリカ軍の死傷者は日本軍を上回っている)。また神風特攻隊の死をも恐れぬ決死の攻撃にさらされ、多くのアメリカ軍水平が恐怖のあまり戦争神経症を発症しています。
アメリカ軍は物量の差で戦争には勝ちましたが、本当は日本人を心底恐れていたのです。だからこそ、マッカーサーとGHQは、日本人の生命ではなく精神を改造する「ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム」という政策を取ったのです。しかし、そんなGHQでも、日本の国体である皇室を消滅させることは出来ませんでした。
私は、戦後の日本の国体を守ったのは、戦争が終結してなお「敵」を震え上がらすほど勇敢に戦った日本兵であると思っています。
2026/02/12
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