明治が終った時、世界は二十世紀を迎えていました。二十世紀こそ、まさしく激動の世紀と呼ぶにふさわしい時代でした。前の世紀から続いていた列強同士の領土をめぐる争いは、この世紀の前半に、ついに戦争という最悪の形で現れます。西洋各国ではこれまで経験したことのない大戦争(第一次世界大戦)によって、約一千万人が亡くなりました。これは人類がかつて経験したことのない大戦禍です。
清帝国が崩壊し、ロシア革命によって史上初めての共産主義国が誕生したのも、この頃です。旧来の秩序が壊れ、世界が新しい時代に入ろうとしていました。
その中にあって、日本はついに世界の列強と肩を並べ、海軍力においては世界三位の大国となりました。明治維新からわずか半世紀後のことです。
しかし日本は平和と安全を確保したわけではありませんでした。第一次世界大戦後に起こった世界恐慌の後、欧米のブロック経済により、一種の経済封鎖を受けたからです。そのため、日本は満洲に活路を求めましたが、対中華民国政策の失敗や、外交政策の拙さも重なって、世界から孤立していきます。
そして満洲事変を発端として、中華民国との泥沼の戦いに足を踏み入れ、やがてそれは大きな悲劇へとつながっていくことになります。
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