欧米列強が次々に清を蚕食する中、それらを排斥しようとする秘密結社「義和団」が誕生しました。これは清に伝わる武道と新興宗教の白蓮びゃくれん教の一派とが合体したもので、国内の失業者や難民を吸収して、またたく間に大きな組織となりました。
清政府はこれを排外政策に利用しようとし、秘かに支援します。義和団は「扶清滅洋ふしんめつよう
」(清を助け西洋を滅ぼす)をスローガンに掲げて、明治三十三年(1900)には北京に入り、各国の公使館を包囲しました。清政府はこれを大きなチャンスと捉えて、欧米列強に宣戦布告します。
日本と列強七ヵ国(イギリス、ドイツ、フランス、ロシア、アメリカ、イタリア、オーストリア)は在留自国民の保護を名目に、清に軍隊を送り込みました。義和団が信じていた「神」は孫悟空そんごくう(『西遊記』に登場する猿。架空のキャラクター)と諸葛孔明しょかつこうめい(『三国志演義さんこくしえんぎ』に登場する蜀しょくの軍師。こちらは実在)という奇妙なもので、団員たちは修行を積めば刀や銃弾さえもはねかえす不死身の身体になれると信じ、近代兵器で武装した列強の軍隊に徒手空拳で挑みましたが、銃や大砲に勝てるはずもなく、各国の軍隊によってたちまちのうちに鎮圧されました。
これは「義和団の乱」(北清事変)と呼ばれ、列強は清に対し、四億五千万テールの賠償金を科し、軍の北京駐留を認めさせました。この時から、清は列強の半植民地となったのです。
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