黒船来航から大政奉還までの十四年間は、日本にとっては、元寇以上と言っても過言ではない危機の時代でした。有色人種の国を次々に植民地として云った欧米の列強が、最後に狙ったのが清であり、日本であったからです。
列強が開国を足掛かりに、日本を蚕食あいていく意図を持っていたのは明らかでした。
多くの有色人種の国を植民地としていた彼らが、日本だけを例外とする理由はないからです。日本がここで対応を過てば、日本もまた東南アジア諸国のように、白人たちによって蹂躙られるのは目に目に見えていました。
そして、この国難に、長らく平和ボケしていた日本人が目覚めたのです。欧米の科学技術と産業革命を目の当たりにした幕府や雄藩は、それらを積極的に導入し、凄まじ勢いで日本を改革していきます。最も象徴的なのが「討幕運動」でした。
しかし、二百六十五年も続いた幕府を倒すのは容易なことではありません。諸藩に恐れられた徳川家は、幕末の時代にあってもなお日本最大の武力を持っていました。
ところが一度大きく動きはじめた時代の波は以降をもってしても止めることは出来ませんでした。
やがて年老いた巨木が倒れるように、江戸幕府は崩壊します。
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