〜 〜 『 寅 の 読 書 室  Part X-U』 〜 〜
== 『般 若 心 経』==

2017/09/06 (水) 写経には、決まった作法がありますか。

厳格な作法もありますが、一般には簡略化したものでけっこうです。
読経どきょう に読経作法があるように、写経には写経の作法があります。
有名なのは比叡山ひえいざん の 「如法にょほう 写経」 ですが、これは大変厳格なものです。主に僧侶のする作法で、一般の方がここまでする必要はありませんが、ご参考までに紹介いたします。
まず写経の前に七日間、懺悔ざんげ します。具体的には 「法華ほっけ 懺法せんぽう 」 などを読んで懺悔の行といたします。これを 「前方便ぜんほうべん 」 つまり準備の作法とします。次の七日間も同じように懺悔して、紙を求めます。次の七日間も懺悔して、最後の日に水を求めます。これは古来、比叡山横川よかわ香浄水こうじょうすい清水寺きよみずでら音羽おとわ の滝の水、三井寺みいでら (園城寺おんじょうじ )閼伽井あかい尊星水そんじょうすい のいずれかを使うのが正式です。
次に、また七日間 「法華懺法」 を読んでから、ここで初めて写経机に向かいます。この時は紙を濡らさぬように手袋をし、写経したものに息がかからぬように覆面ふくめん をします。覆面はちょうどガーゼのマスクのようなものを、紙でつくって使います。
こうしてお経が書きあがったら、花、香、瓔珞ようらく (首飾り)抹香まっこう (香を砕いたもの)塗香ずこう (体に塗る香)焼香しょうこう幡蓋ばんがい (飾りのついた布傘) 、衣服、伎楽ぎがく 、合掌の十種の供養をします。供養するとは、しかるべき台に写し終わったお経を載せ、その前に右記のものを並べてお供えするのです。このとき、お経そのものを仏様に見立てるわけです。
そして最後に、写経したお経を仏道や墓所などに、その目的により奉納するのです。
先にも申しましたように、普通われわれが写経するのに、ここまではしなくてもよいでしょう。ただ、用意したいものは塗香です。塗香はインドの習慣で、各種の香木を粉砕した細かい粉がブレンドsれたものです。これを身に塗って、おきよ めをするのです。
以下に、塗香を含めた手順を以下にご紹介しましょう。なお、塗香ですか、お茶道具の店か大きな仏具屋さんにあります。これを香合こうごう という携帯容器に入れて用います。
『実践 般若心経入門』 著:羽田 守快 ヨリ
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