三
世ぜ 諸しょ
仏ぶつ |
(書き下し) | 三世諸仏は | (現代語訳) | 過去、現在、そして未来の無数の仏たちも |
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仏教的宇宙観に立てば、われわれが生きている世界以外にも、無数の世界が存在する。 そうした無数の世界の、無数の仏たちが、みなひとつの真理を示しているのである。 |
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三世さんぜ
の諸仏しょぶつ とは過去、現在、未来の仏のことです。これも大乗だいじょう
仏教に独特の考えです。上座部じょうざぶ
仏教では、仏様といえばお釈迦しゃか
様のほかにはありません。ところが最近の研究によれば、仏陀ぶつだ
すなわち目覚めた人という語は、仏教が成立する以前からあったらしく、そうなると、ほかにも仏陀はいたことになります。 現在、仏の代表というとお釈迦様ですが、インドには過去七仏といわれる過去仏信仰がありました。七仏とはお釈迦様を含めた数で、ほかに毘婆びば
尺仏しぶつ 、尺棄仏しきぶつ
、毘舎浮仏びしゃふぶつ 、拘留孫仏くるそんぶつ
、拘那含牟尼仏くなごんむにぶつ
、迦棄仏かしょうぶつ の六仏がいたとされます。つまり仏教の真理は、お釈迦様によって初めてこの世界に現れたのではなく、過去においても気の遠くなるような長い間、変わらぬ法として説かれ続けてきたというのです。 こうした過去仏の信仰は後世、未来仏信仰へと発展しました。未来仏とは、五十六億七千万年の後に出現するという弥勒如来みろくにょらい
です。今はまだ弥勒菩薩ぼさつ
として、兜率天とそつてん と呼ばれる浄土にある摩尼宝殿まにほうでん
におられるといいます。 ただ実際には、もっともっと多くの仏がいるらしく 『三千仏名経さんぜんぶつみょうきょう
』 を見ますと、過去・現在。未来にそれぞれ千人の仏様があてられています。仏典には、このお経にも登場しない仏様も山ほどいますから。全部で何人いるのか分かりません。
「これほどの仏様がいったいどこにいるというの?」 と考える人もいるでしょう。 |