〜 〜 『 寅 の 読 書 室  Part X-U』 〜 〜
== 『般 若 心 経』==

2017/08/27 (日) 

さん しょ ぶつ
(書き下し)三世諸仏は
(現代語訳)過去、現在、そして未来の無数の仏たちも
仏教的宇宙観に立てば、われわれが生きている世界以外にも、無数の世界が存在する。
そうした無数の世界の、無数の仏たちが、みなひとつの真理を示しているのである。
三世さんぜ諸仏しょぶつ とは過去、現在、未来の仏のことです。これも大乗だいじょう 仏教に独特の考えです。上座部じょうざぶ 仏教では、仏様といえばお釈迦しゃか 様のほかにはありません。ところが最近の研究によれば、仏陀ぶつだ すなわち目覚めた人という語は、仏教が成立する以前からあったらしく、そうなると、ほかにも仏陀はいたことになります。
現在、仏の代表というとお釈迦様ですが、インドには過去七仏といわれる過去仏信仰がありました。七仏とはお釈迦様を含めた数で、ほかに毘婆びば 尺仏しぶつ尺棄仏しきぶつ毘舎浮仏びしゃふぶつ拘留孫仏くるそんぶつ拘那含牟尼仏くなごんむにぶつ迦棄仏かしょうぶつ の六仏がいたとされます。つまり仏教の真理は、お釈迦様によって初めてこの世界に現れたのではなく、過去においても気の遠くなるような長い間、変わらぬ法として説かれ続けてきたというのです。
こうした過去仏の信仰は後世、未来仏信仰へと発展しました。未来仏とは、五十六億七千万年の後に出現するという弥勒如来みろくにょらい です。今はまだ弥勒菩薩ぼさつ として、兜率天とそつてん と呼ばれる浄土にある摩尼宝殿まにほうでん におられるといいます。
ただ実際には、もっともっと多くの仏がいるらしく 『三千仏名経さんぜんぶつみょうきょう 』 を見ますと、過去・現在。未来にそれぞれ千人の仏様があてられています。仏典には、このお経にも登場しない仏様も山ほどいますから。全部で何人いるのか分かりません。 「これほどの仏様がいったいどこにいるというの?」 と考える人もいるでしょう。
『実践 般若心経入門』 著:羽田 守快 ヨリ
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