〜 〜 『 寅 の 読 書 室 Part X-U』 〜 〜
== 『般 若 心 経』==
2017/07/15 (金)
Q3 ご利益を得るためには、どんな方法があるのですか?
お唱えするのが一番です。写経をするのもけっこうです。
ご
利益
(
りやく
)
を得るには、 「
般若心経
(
はんにゃしんぎょう
)
」 をお唱えするのが最上だと、昔から言われています。よく覚えられない、などという人がありますが、実は覚えようとする必要はないのです。本を見て、何かにつけて読んでいれば、嫌でも自然に覚えてしまうのがこのお経です。決してそらんじること自体が大切なのではありませんが、その方が便利ではあります。そもそも正しいお経の読み方は、基本的にはおお経本を見て唱えることです。ただし、声を出すことは大切です。声を出さないと、いつまでも覚えられません。
また、お経を唱えることのもうひとつの意味は、
経文
(
きょうもん
)
を人に聞かせるということにあります。お経を毎日のように聞いていた犬や牛が、人に生まれ変わったという説話があるように、唱える人ばかりか、聞く者にとってもお経は
功徳
(
くどく
)
となります。
ただ、押しつけがましく大声を出しては近所迷惑ですから、あくまで常識の範囲で唱えることはいうまでもありません。夜中や早朝でなければ、せめて自宅の同室のなかで聞こえるくらいはかまわないでしょう。
こいう考え方を 「
音声
(
おんじょう
)
成仏
(
じょうぶつ
)
」 といいます。
修験道
(
しゅげんどう
)
では山へ入ると、
錫杖
(
しゃくじょう
)
を振り鳴らし、お経を勇ましく唱えます。これは山の神々への供養であるとともに、悪魔や邪気を遠ざける役割も果たします。私は
先達
(
せんだつ
)
さんから、 「お経を唱える声の聞こえる範囲が自分の結界だ」 と教えられたものです。
それでも、どうしても声を出すことはまわりに気を遣うという環境でしたら、書写という方法があります。いわゆる写経ですが、これままた大きな功徳があるといわれております。昔は
埋経
(
まいきょう
)
といって、写経したものを地面に
埋
(
う
)
め、
祈念
(
きねん
)
しました。そうすることで、末長くその土地を清浄することが出来ると考えられてきたのです。
また、たくさんお経を写経して、お
焚
(
た
)
きあげしてくれ、と持って来る方がいらっしゃいますが、これはもったいない話です。
有縁
(
うえん
)
の方に差し上げられれば、その方がはるかによいと思います。これも大きな功徳になることとされています。 『般若心経』 は、安置して供養するだけで、大変な功徳があるとされているのです。
『実践 般若心経入門』 著:羽田 守快 ヨリ
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