という歌が題名になった。玉鬘は髭黒との間に、年子の男の子を二人生み、すっかり左大将の北の方として収まっていた。 二月十日過ぎ、女三の宮が六条のいんんい降嫁してきた。 女三の宮のあまりの幼稚さに源氏は失望し、紫の上の魅力に改めて強く惹かれる。 しかし夫婦の溝は埋めることができず、紫の上は独り寝の袖を涙で濡らすことも多い。 朧月夜
に君は朱雀院の出家の時、自分も出家しようとするが院に許されず、院が西山の寺へ入った後、里の右大臣邸に帰っていた。源氏はそこへ訪ねて行き、朧月夜は心弱く、拒みきれず、再び源氏と甘美な密会を重ねることになる。そのことを察知しても、男女の愛に絶望している紫の上は、もはや嫉妬さえしない。 |