と書いた手紙を白い梅の枝につけてお届けになります。
文使いをお呼びよせになって、 「西の渡り廊下からさし上げなさい」 とお命じになり、そのまま、外を眺めながら縁の近い所にいらっしゃいます。白いお召物を召されて、白梅の花をまさぐりながら、ほのかな残雪の上に、またちらちら降り添ってくる雪の空を眺めていらしゃいます。近くに咲く紅梅の梢に、鶯が初々
しい声で鳴いているのをお聞きになって、 <折りつれば袖こそ匂へ梅の花> と口ずさまれて、花を袖でおし隠されて、御簾みす
を押し上げられて外を見ていらっしゃるお姿は。どう見ても、夢にも中納言や女御というお子まである高い御身分のお方とは思えず、ひたすらお若く、瑞々みずみず
しいのでした。 |