空には有明の月が 
つれなく かかっていた
あなたのそばにもっといたかったのに
明ければ帰らねばならぬ世の習い
ぼくは心残して帰った
あの日からというもの
ぼくにとっては暁ほど
せつなく辛いものは
ないようになったんだ

 

有明の

 つれなく見えし 別れより

  暁ばかり 憂きものはなし

               壬生忠岑