奧山に

 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の

  声きくときぞ 秋はかなしき

              
猿丸太夫
秋もたけた山の奥深く、
散り敷く紅葉をふみわけて鹿は鳴く。
妻恋うて哀々と鳴く鹿よ
ああ その声を聞くとき、
秋のあわれは深く身に沁む。