なん こう わか る る の
頼 山陽
安永九 (1780)〜天保三 (1832)

海甸陰風草木腥

史編特筆姓名馨

一腔熱血存餘瀝

分與兒曹灑賊庭
海甸かいでん陰風いんぷう 草木そうもく なまぐさ
へん 特筆とくひつ して姓名せいめい かんば
いっ こう熱血ねっけつ れきそん
そうぶん して賊庭ぞくていそそがしむ

畿内の海浜一帯は、かって戦乱の地であったため、風は殺気を含んで吹き、草木までもがなまぐさい。
ここで討ち死にした楠公の忠節は、歴史家によって特筆大書され、その名は永く史上に伝わるであろう。
楠公の天子への満身の忠義の熱血の滴りは、それぞれの子供たちに分け与えられ、さらに後に賊臣足利尊氏に対し、戦場においてそそがれたのである