きん しゅう じょう さく
乃木 希典
嘉永二(1849)〜大正元(1912)

山川草木轉荒涼

十里風腥新戰場

征馬不前人不語

金州城外立斜陽
山川草木 さんせんそうもく うたた荒涼こうりょう
じゅう かぜ なまぐさ新戦しんせん じょう
せい すす まず人語ひとかた らず
金州きんしゅう 城外じょうがい 斜陽しゃよう

山も川も草も木も、すっかり荒れ果ててしまっている。
戦いのあったばかりのこの広い戦場には、どこもかしこも、 血なまぐさい風が吹いている。
あまりのわびしさに軍馬も進もうとはせず、また、われ人とともにことばも無く、金州城 外の夕陽の中に、万感の思いで立ちつくすのである。