○幽居==世塵をさけて静かなところに住む。
○即事==詩題の一つで、その時と場所のことを詠ずること。
○山気==山間の風気。山は比叡山。
○人世==世俗界。世の中。
○太古情==俗塵にけがれない昔ながらの風情。
○四時==春夏秋冬の四季。
○雲樹色==雲と樹木の色。大自然の風景をいう。
○一曲==音楽の一ふし。ただ聞えるのは潤泉の声だけだからいう。
○潤泉==谷間から湧き出るいずみ。
○雨濕==雨で湿り気を含む。
○鶯衣重==雨を含んだ鶯の衣 (羽) が重い。
○風暄==春の風は暖かく。
○蝶袖軽==蝶の袖 (羽) が軽やかである。しっとりと水気を含んだ鶯衣に対して暖気で軽やかになった蝶袖を対比させた。
○為詩雖至老==詩を作って老境に至ったと言えども。詩仙堂にこもって作詩してはいるが、過去の詩作を振り返ってみるとの意。老境の沈静した心で振り返ったとき、今まで何をしていたのだろうかという気持ちになったのである。
○未使鬼神驚==鬼神の心を感激させるまでの詩作がないことをいう。
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