しょう ちく ばい
松口 月城
1887 〜


寿じゅ ふく いよいよ ひらしょう ちく ばい

きみいえ こん にち これほう らい

かめ あそつる ひと また

げんかん かい ぎょく はい
壽v開松竹梅

君家今日是蓬莱

龜遊鶴舞人還醉

無限歡懐在玉杯

(通 釈)
歳寒の三友とも呼ばれる松竹梅が、長寿と幸福をもたらして、いよいよ開運の日を迎えた。
今日の君の家は、まあ、不老不死の仙人の住むという蓬莱山にも比すべく、栄光に輝いている。
さて、万年の長寿を保つ亀はゆったりと遊び、千年の長命をもつ鶴はのどかに舞うという、めでたい雰囲気の祝宴の中では、席に列した人たちもまた陶然と酔って、限りない喜びの情感が、玉杯に朗々と解け合って、何ともめでたいことである。

○松竹梅==松と竹と梅と、三つとも寒に堪えるので、 「歳寒の三友」 と呼び、めでたいものとして慶事に用いる。
○寿福==命長く、さいわいの多いこと。
○蓬莱==仮想上の山で東海中にあって仙人が住み、不老と不死の地と考えられる伝説的な霊山のこと。
○玉杯==玉で作った杯で、杯の美称。


(解 説)
この詩は、月城が、吟界の求めに応じ、祝宴吟として作詩したもので、祝宴の席での吟詠、また剣舞・詩舞にあわせて舞えるよう、縁起の良い詩語を並べ、祝福の気持ちを述べたもの。