(通 釈) ここ桂林荘の塾生になろうとして諸方から集まって来た者の数は、数え切れぬほど多い。 また、出身地も・筑前・筑後・肥前・肥後・豊後 と多岐にわたっている。それら多くの塾生たちが、簾いっぱいに梅花の影のうつる、うららかな春の日の昼下がりにも勉学に励んで倦むことを知らず、読書の声が、あるいは高く、あるいは低く、窓外に響いてくる。
○幾人==数え切れぬほどの多くの人々。 ○負笈==郷里を出て遊学すること。 ○西東==西からも東からも。転じてどの方角からも、という意。 ○両筑==筑前と筑後と。 ○双肥==肥前と肥後と。 ○前後豊=豊前と豊後 。 ○春昼永==春の日差しが、うららかでのどかであること。 ○書声==書物を音読する声。かっては、すべて朗々と節をつけて書物を音読したのである。 ○房? (ボウロウ) ==房室の窓。れんじ窓や格子窓。