○望==仰ぎ見た眺め、眺望のこと。
○氤? (インウン) ==山気がたちこめて、靄にかすむこと。
○木末楼台==「木末」 とは梢のこと。 「楼台」 とは三峰の中岳にある英彦山神社の神殿のこと。梢の先に神殿が見える、という意味。
○晴==靄が晴れることであり、晴天の意味ではない。
○始分==「始」 はやっとという意味、「分」 は分明、はっきりすること。
○天壇==通常 「天壇」 といえば、中国の天子が天を祭る特定の場所をいうのであるが、この詩にあっては、彦山の山頂、すなわち神殿を指す。
道教では、中国の伝説上の人物、黄帝 (コウテイ) が天に祈ったという故事のある王屋山
(オウオクサン) の絶頂を天壇といっており、修験者たちが一心に祈り、あるいは修法に励む彦山を、道家の王屋山に見立てて用いた語であろう。
○香煙==香を焚く煙。 ○散==分散すること。
○数峰雲==解説に示したように、彦山の頂きは三峰に分かれている。祭壇で焚く香の煙が漂い分散して、あたかもその三峰にかかる雲のように見えることをいう。
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