(通 釈) 友を失ってみて改めて感ぜずにはいられないのは、人生は夢の如くまた烟の如く、はかないものだということである。 君がこの世を去ってしまって、自分はただ茫然として、目の前が真っ暗になった。 君のことを思うと、あの穏やかな顔がぼんやりと浮んでくるが、いくら呼びかけてみたところで答えてくれるはずもない。 ふり仰いでみれば大いなる虚空は果てしなく広がり、恨みは果てしなく綿々として残るのみである。
○如夢==夢のようにはかなくも瞬く間に過ぎてしまうことのたとえ。 ○如烟==如夢と同じように、人生ははかなく、終えてしまえばまた烟のように跡形も残さないことのたとえ。 ○逝==逝去。 ○茫茫==遠く広いさま。 ○転==ますます。 ○暗然==暗い様子。 ○髣髴==思い浮ぶさま。 ○温容==生前の穏やかな顔だち ○漠漠==広々としたさま。 ○綿綿==長く続いて絶えぬさま。 ○大空==何もない空間、虚空の意。