曾(そ) 我(が) 兄(きょう) 弟(だい)
松口 月城
1887 〜

富士山風交雨吹

上天此夕憐二兒

篝火影淡裾野陣

警柝響遠狩屋帷

十有八年朝又暮

憤恨呑涙知者誰

  いかに祐経とく覚えよ

    曾我の五郎ぞ十郎ぞ

  忘れもすまじ父の仇

    討ちにくるとは知らざるか


蹴枕喚起仇祐経

白刃一閃晴思時

雨止風収雲吐月

凄壯照出兄弟姿
富(ふ) 士(じ) の山風(やまかぜ) 雨(あめ) を交(まじ) えて吹(ふ) く
上(じょう) 天(てん) 此(こ) の夕(ゆう) べ二(に) 児(じ) を憐(あわ) れむ
篝(かがり) 火(び) の影(かげ) は淡(わわ) し裾(すそ) 野(の) の陣(じん)
警柝(けいたく) 響(ひびき) は遠(とお) ざかる狩(かり) 屋(や) の帷(とばり)
十(じゅう) 有(ゆう) 八(はち) 年(ねん) 朝(あさ) 又(また) 暮(くれ)
憤恨(ふんこん) 涙(なみだ) を呑(の) む知(し) る者(もの) 誰(たれ) ぞ

  いかに祐経(すけつね) とく覚(さ) めよ
     曽(そ) 我(が) の五(ご) 郎(ろう) ぞ十(じゅう) 郎(ろう) ぞ
  忘(わす) れもすまじ父(ちち) の仇(あだ)
     討(う) ちにくるとは知(し) らざるか


枕(まくら) を蹴(け) って喚(よ) び起(お) こす仇(かたき) 祐経(すけつね)
白刃(はくじん) 一閃(いつせん) 思(おも) いを晴(は) らすの時(とき)
雨(あめ) 止(や) み風(かぜ) 収(おさ) まりて雲(くも) 月(つき) を吐(は) く
凄壮(せいそう) 照(て) らし出(だ) だす兄(きょう) 弟(だい) の姿(すがた)