花屋彈琴千嶂月 月樓弄笛萬林花 花香漠漠花天月 月色朧朧月地花 花下哦詩君對月 月前温酒我看花 花開花落古今月 月去月來晨夕花
(通 釈) 花見の館のあって、琴を弾じながら遠く長びく山の稜線の上に輝く月を仰ぎ、月見の楼にあって、笛を吹きながら、幾重にも咲いた花を見やれば、その花の香は馥郁と広がって、天の月の光に達し、月はおぼらな光を放って地上の花を照らしている。 風流な君は、花に興じ、詩を吟じて、月を仰ぎ、自分は月光の中に酒を温めて花を見る。 花は開き、また散る。その花を照らす月は昔も今も同じ。月が沈みまた昇る、その月に照らされる花は朝に咲き夕に落ちるのだ。
○花屋==花を観賞する館。花見の家 ○千嶂== <嶂> は峰。峻しく連なる峰々。ここでは、月の光によって陰影の濃くなったさま。 ○晨夕==晨昏。朝夕。旦暮。晨暮。