はく とう ぎん
卓 文君
前漢 (前179 ~ 前117頃)

皚如山上雪

皎若雲閒月

聞君有兩意

故來相決絶

今日斗酒會

明旦溝水頭

??御溝上

溝水東西流

淒淒復淒淒

嫁娶不須啼

願得一心人

白頭不相離

竹竿何嫋嫋

魚尾何??

男兒重意気

何用銭刀爲

がい たることさん じょうゆきごと
きょう たること雲間うんかんつきごと
きみ りょう りと
ゆえきた りてあい 決絶けつぜつ
今日こんにち しゅかい
みょう たん 溝水こうすいほとり
ぎょ こううえしょう ちょう すれば
溝水こうすい 東西とうざいなが
淒淒せいせい としてまた 淒淒せいせい たり
しゅう には くをもち いず
ねが わくばいつ しんひと
白頭はくとう まであい はな れざらん
竹竿ちくかん なんじょう じょう たる
ぎょ なん たる
だん おも んず
なん銭刀せんとうもち うるを さん


私の身の潔白なことは、山の上の白い雪のようであり、心の清らかなことは、雲間の白い月のようです。
ところが、聞けばあなたは心変わりがしたということです。そこでわざわざ永のお別れをしようとやって参りました。
今日は一斗の酒をくんで、あなととこうしてお目にかかっていますが、明朝はお濠の辺に立ってさまよう身になっているでしょう。
お濠のそばをとぼとぼと歩いていますと、水は東と西に分かれて流れてゆくのが、目に入ります。ちょうど私達の身の上をあらわしているかのようです。
悲しみに涙がしきりに流れてなりませんが、嫁入り、嫁とりは、決して泣くにはあたりません。とにかくあなたのような人ではなく、人の真心を持っている人を得て、共に白髪になるまで離れずに、添い遂げたいものです。
なんと釣り糸を垂れた竹竿がなよなよしているのでしょう。そして釣り糸の餌に尾をふってくる魚の姿よ。男というものは意気が大切です。金銭など、なんの役に立ちましょうか。