皚如山上雪 皎若雲閒月 聞君有兩意 故來相決絶 今日斗酒會 明旦溝水頭 ??御溝上 溝水東西流 淒淒復淒淒 嫁娶不須啼 願得一心人 白頭不相離 竹竿何嫋嫋 魚尾何?? 男兒重意気 何用銭刀爲
皚(がい) たること山(さん) 上(じょう) の雪(ゆき) の如(ごと) く 皎(きょう) たること雲間(うんかん) の月(つき) の若(ごと) し 聞(き) く君(きみ) 両(りょう) 意(い) 有(あ) りと 故(ゆえ) に来(きた) りて相(あい) 決絶(けつぜつ) す 今日(こんにち) 斗(と) 酒(しゅ) の会(かい) 明(みょう) 旦(たん) 溝水(こうすい) の頭(ほとり) り 御(ぎょ) 溝(こう) の上(うえ) に?(しょう) ?(ちょう) すれば 溝水(こうすい) 東西(とうざい) に流(なが) る 淒淒(せいせい) として復(また) 淒淒(せいせい) たり 嫁(か) 娶(しゅう) には啼(な) くを須(もち) いず 願(ねが) わくば一(いつ) 心(しん) の人(ひと) を得(え) て 白頭(はくとう) まで相(あい) 離(はな) れざらん 竹竿(ちくかん) 何(なん) ぞ嫋(じょう) 嫋(じょう) たる 魚(ぎょ) 尾(び) 何(なん) ぞ?(し) ?(し) たる 男(だん) 児(じ) 意(い) 気(き) を重(おも) んず 何(なん) ぞ銭刀(せんとう) を用(もち) うるを為(な) さん
私の身の潔白なことは、山の上の白い雪のようであり、心の清らかなことは、雲間の白い月のようです。 ところが、聞けばあなたは心変わりがしたということです。そこでわざわざ永のお別れをしようとやって参りました。 今日は一斗の酒をくんで、あなととこうしてお目にかかっていますが、明朝はお濠の辺に立ってさまよう身になっているでしょう。 お濠のそばをとぼとぼと歩いていますと、水は東と西に分かれて流れてゆくのが、目に入ります。ちょうど私達の身の上をあらわしているかのようです。 悲しみに涙がしきりに流れてなりませんが、嫁入り、嫁とりは、決して泣くにはあたりません。とにかくあなたのような人ではなく、人の真心を持っている人を得て、共に白髪になるまで離れずに、添い遂げたいものです。 なんと釣り糸を垂れた竹竿がなよなよしているのでしょう。そして釣り糸の餌に尾をふってくる魚の姿よ。男というものは意気が大切です。金銭など、なんの役に立ちましょうか。