一生農家の仕事をする君を気の毒に思うが、またそれにしても、季節が巡るごとに、今なお自分が旅の途中にいることを知り、驚かずにはいられない。
別れてからはや数年になるが、きっと君の子供達も大きくなっていることであろう。
遠く千里の彼方にまで目をやっても、兄弟は君と私の二人だけだ。
秋の空の木の葉が無数に舞い散っているが、それを見るにつけても、私の憂いは深まるばかりだ。
あるは雨の降る夜、その雨の音を聞きながら、消え残った灯火を見ても、その夜の夢に故郷が現れるのだ。遠く故郷を想うだけでも涙があふれてならないのに、まして秋の空を、雁が川やみずうみを渡って来たと聞けば、なおさらのこと、望郷の悲しみはつのるばかりなのだ。
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