秋風が吹き起こり、白雲が飛び交い、草木は黄ばんで散り落ち、雁は南をさして帰って行く。
ものにな散り落ちる時にあたって、ただ、花うるわしく香りゆかしく咲き誇っている蘭と菊とを眺めると、それに劣らぬ忠実の香り高い家臣たちのことが思われて、忘れることができない。
今楼船をうかべ、汾河を渡った。そして川の中ほどわが船は白波をあげつつ横たわる。簫や鼓は鳴りひびき、舟歌も和して聞こえ、楽しみをつくす思いである。
しかし、このような歓楽がきわまったあと、生ずるのは悲しみの思いである。少壮歓楽の時はいつまでも続けられるものだろうか、やがておそってくる老いはどのようにもしようがないのである。
|