さけ ん で はい てきあと
王 維
盛唐 (699 〜 761)

酌酒與君君自寛

人情飜覆似波瀾

白首相知猶按劍

朱門先達笑彈冠

草色全經細雨濕

花枝欲動春風寒

世事浮雲何足問

不如高臥且加餐
さけ んできみあときみ みずかゆる うせよ
にん じょう飜覆はんぷく らん たり
はく しゅそう なお けんあん
朱門しゅもん先達せんだつ 彈冠だんかんわら
そう しょく まったさい うるお
うご かんとほつ してしゅん ぷう さむ
うん なん うに らん
かずこう してかつさんくわ えんには

君の好きな酒を用意したよ。どうか大いにゆっくり飲んでゆったりとした気分になりたまえ。
人情のくるくると変わるのは、ちょうど大波小波が定まりのないのに似ている。
ともに白髪になるまで付き合った仲でも、利害の為には互いに劍を取って争うこともあるし、先に出世をして朱塗りの門構えの家に住む人間も、推薦を頼みに待つ者を却って嘲笑したりする。
草の色は春の雨にしっとりと潤っているが、花の枝はつぼみが開こうとしているのにまだ春の風は冷たく吹く、世の中のことはすべて浮雲の如くはかないもので問題にするに足りない。むしろ枕を高くして悠々と眠って英気を養うに超したことはないのだ。