ひっそり静まり返った山中では人の姿は見えない。 だが、何処からともなく人の声が聞こえ、そのためにあたりの静けさがかえって増すようである。 折から日は西に傾き、その光ガ林の奥深くまでさし込んで、木々の根元の青苔を美しく照らし出している。