かん
山崎 闇齋
元和四 (1618) 〜 天和二 (1682)

坐憶天公洗世塵

雨過四望更清新

風光霽月今猶在

唯闕胸中灑落人
そぞ ろにおも天公てんこう じんあろ うを
あめ ぎて ぼう さら清新せいしん
風光ふうこう 霽月せいげつ 今猶いまなお
ただ 胸中きょうちゅう 灑落しゃらくひと

一体誰が東海の水で洗い上げたのであろう、この美しい芙蓉の姿の富士の山を。
裾野は広く甲斐・相模・駿河の三州にわたり、その頂上は天空にさしはさんで、八枚の花弁の花のような気高い姿を見せている。
雲や霞は広々とした麓からたちのぼり、日や月は中央の峠をさけて通ってゆく。
大空に一きわ聳え立ち、地に競うものがなく、おのずと群山の宗主となっている。