つとふか がわはっ
平野 金華
元禄元 (1688) 〜 享保十七 (1732)

月落人煙曙色分

長橋一半限星文

連天忽下深川水

直向總州爲白雲
つき ちて人煙じんえん しょ しょく わか
長橋ちょうきょう 一半いっぱん 星文せいぶんかぎ
てんつらな ってたちまくだ深川ふかがわみず
ただ ちに 総州そうしゅうむか って白雲はくうん

月落ちて人家からは早くも朝餉の煙が立ち上がって明け初めた暁の空になびき、隅田川から空を見上げると永代橋が横たわっていて星の光を上下二つに分けている。
満々とたたえた水は天に連なって流れ、自分が行かんとする総州に向かって白雲となっている。