一体誰が東海の水で洗い上げたのであろう、この美しい芙蓉の姿の富士の山を。 裾野は広く甲斐・相模・駿河の三州にわたり、その頂上は天空にさしはさんで、八枚の花弁の花のような気高い姿を見せている。 雲や霞は広々とした麓からたちのぼり、日や月は中央の峠をさけて通ってゆく。 大空に一きわ聳え立ち、地に競うものがなく、おのずと群山の宗主となっている。