中庭の地面は名月の光を受けて白く輝き、庭樹は鳥によきねぐらを与えている。 月の光によって生じた露は、しっとりと木犀の花を湿す。 今宵の満月をひとはことごとくこれを眺めていることであろうが、さてこの月を見て、秋の夜の物思いにふける人は、いったいどこの家に居るだろうか。