じゅう つきのぞ
王 建
中唐 (? 〜 830)
中庭地白樹棲鴉

冷露無聲濕桂花

今夜月明人盡望

不知秋思在誰家
ちゅう てい しろ くしてじゅ からす ましめ
れい こえ けい 湿うるお
こん 月明げつめい ひと ことごとのぞ
らずしゅう いえ にか

中庭の地面は名月の光を受けて白く輝き、庭樹は鳥によきねぐらを与えている。
月の光によって生じた露は、しっとりと木犀の花を湿す。
今宵の満月をひとはことごとくこれを眺めていることであろうが、さてこの月を見て、秋の夜の物思いにふける人は、いったいどこの家に居るだろうか。