よし あそ
頼 杏平
宝暦六 (1756) 〜 天保五 (1834)

萬人買醉攪芳叢

感慨誰能與我同

恨殺残紅飛向北

延元陵上落花風
万人ばんじん すい って芳叢ほうそうみだ
感慨かんがい たれわれおな じくする
恨殺こんさい残紅ざんこう んできたむこ うを
延元えんげん 陵上りょうじょう 落花らっかかぜ

吉野に花見に訪れる人々は、酒に酔ってあたりを踏み散らして歩きこそすれ、一人として南朝をしのんで自分と感慨を同じくする者はいない。
ことに恨みとするところは、後醍醐帝の御陵の上を吹く風に散る花びらまでもが、北の都の方角に向かって飛んでいることである。