誰の家で吹いている笛の音であろうか、どことも知れない闇の中から聞こえてくる。 その音が春風とともに洛陽城中に満ちている。 さて、その曲は、別路を傷む 「折楊柳」 の曲である。 この淋しい曲の音を聞いて、故郷を思う情を起こさぬものはないであろう