木曽川は、はるかに遠く流れて、桑名で海に注いでいる。 自分は今小舟に乗って下りつつあるが、舟の櫓の音や空飛ぶ雁の聲を聞くにつけ故郷が思い出される。 自分は一人遠い地にあって年も暮れようとしている折、降りしきり風雪の中を一隻の小舟で能州を下っていくのである。