ふね おお がきはっ し て くわ おもむ
頼 山陽
安永九 (1780) 〜 天保三 (1832)

蘇水遥遥入海流

櫓聲雁語帶郷愁

獨在天涯年欲暮

一篷風雪下能州
すい 遥遥ようよう うみ ってなが
せい がん 郷愁きょうしゅう
ひと天涯てんがい ってとし れんとほっ
一篷いっぽう風雪ふうせつ のうしゅうくだ

木曽川は、はるかに遠く流れて、桑名で海に注いでいる。
自分は今小舟に乗って下りつつあるが、舟の櫓の音や空飛ぶ雁の聲を聞くにつけ故郷が思い出される。
自分は一人遠い地にあって年も暮れようとしている折、降りしきり風雪の中を一隻の小舟で能州を下っていくのである。