ちゅう しゅう げつ はは
頼 山陽
安永九 (1780) 〜 天保三 (1832)

不同此夜十三囘

重得秋風奉一巵

不恨尊前無月色

免看兒子鬢邊絲
おなじ うせざることじゅう 三回さんかい
かさ ねて たりしゅう ふういつ ほう ずるを
うら みず尊前そんぜんげつ しょく きを
るをまぬが 鬢辺びんぺんいと

自分が故郷を去って母とはなれて住み、この中秋の名月をともに賞せぬことは既に十三年にもなる。
然し今宵は母を迎えて秋風に坐し、月見の酒をさしあげることの出来たのはまことに嬉しい。
あいにく曇り空で月は見えないが、そのためにわが白髪を母に見られないのは幸いである。