かん かん こう ごう
荻生 徂徠
寛文六(1666)〜享保十三(1728)

甲陽美酒緑葡萄

霜露三更濕客袍

須識良宵天下少

芙蓉峯上一輪高
甲陽こうようしゅりょくどう
そう三更客袍さんこうかくほう湿うるお
すべか るべし良宵天りょうしょうてん まれなるを
蓉峯上一輪高ようほうじょういちりんたか

甲斐のうま酒、それは緑うるわしいぶどうから造られる。
その美酒を含みつつ、はや時は三更(夜半)、霜や露が われわれの衣服をしめらせる。
ご覧あれ、こんな良い夜はこの世にめったにあるものではない。
はるかに遠く、富士の上には一輪の月が一きわ 明るくかかっているではないか。