客 舎かくしゃへきだい
雲井 龍雄
弘化元(1844)〜明治三(1870)

欲成斯志豈思躬

埋骨青山碧海中

酔撫寶刀還冷笑

決然躍馬向關東
こころざし さんとほつ してあに おも わんや
ほねうず青山碧海せいざんへきかいうち
うて宝刀ほうとう冷笑れいしょう
決然馬けつぜんうまおど らして関東かんとう こう

この大望を果たそうと思えばわが一身の事など考えてはいられない。
骨を埋めるには青山であろうが、碧海であ ろうが何処でもかまわない覚悟である。
盃を傾け酒に酔うては伝家の宝刀を撫で、己の決意に静に笑みを含み 、決然と馬を躍らして関東に向かって急ぐのである。