磯 濱 望 洋 樓 いそはまぼうようろうのぼ
三島 中州
天保元 (1830) 〜 大正八 (1919)

夜登百尺海灣樓

極目何邊是米州

慨然忽発遠征志

月白東洋萬里秋
夜登よるのぼひゃく しゃく 海湾かいわんろう
きょく 目何もくいず れのへんべい しゅう
慨然がいぜん たちまはつ遠征えんせいこころざし
つきしろ東洋萬とうようばん あき

夜 百尺もあろうという海浜の高いこの楼にのぼってみると、見わたすかぎり大海原でどのあたりが話に聞くアメリ カ大陸になるのだろうか、見当もつかない。
じっと見ているとその海のかなたに行ってみたいという思いが、心の 底からわき上がってくる。
折しも秋の月は冴え、はてしなく広がるこの東海の波涛を白く照らしているのみである。