北海道ほっかいどう 巡遊中じゅんゆうちゅうさく
伊藤 博文
天保十二 (1841) 〜 明治四十二 (1909)

蹇蹇匪躬奚念歸

滿天風露濕征衣

秋宵石狩山頭夢

尚向黒龍江上飛
蹇蹇けんけん きゅう なんかえ るをおも わん
満天まんてんふう せい 湿うるお
しゅう しょう 石狩山頭いしかりさんとうゆめ
なお こく りゅう こう じょうむか って

自分はひたすら君国のためにつくそうと考えており家に帰ろうなどとは思ったこともない。
空いっぱいに、溢れるようなひややかな露が、しっとりとわが旅衣をしめらせる この秋の夜、石狩の山のふもとの 自分の夢は、さらに遠く黒竜江のほとりを馳せめぐっているのである。