五年ぶりに京都の嵐山に来て見れば、何万本という桜が一面に咲き競い、鮮やかな美しい風景を織りなしている。 しかし、この嵐山の景色よりも、わたしは、今回老いた母とともに旅ができて、その上、毎晩一面の花の咲く中で、母と枕を並べて眠ることができるのを、何よりも嬉しく思うのである。