ははほう じて嵐山らんざんあそ
頼 山陽
安永九 (1780) 〜 天保三 (1832)

不到嵐山已五年

萬株花木倍鮮妍

最忻阿母同衾枕

連夜香雲暖處眠
嵐山らんざんいた らざることすでねん
ばん しゅ ぼく ますます 鮮妍せんけん
もっとよろこ 衾枕きんちんとも にし
れん 香雲こううん あたた かきところねむ

五年ぶりに京都の嵐山に来て見れば、何万本という桜が一面に咲き競い、鮮やかな美しい風景を織りなしている。
しかし、この嵐山の景色よりも、わたしは、今回老いた母とともに旅ができて、その上、毎晩一面の花の咲く中で、母と枕を並べて眠ることができるのを、何よりも嬉しく思うのである。