さん げつうた
李 白
盛唐(701〜762)

峨眉山月半輪秋

影入平羌江水流

夜發清渓向三峡

思君不見下渝洲
山月半輪さんげつはんりんあき
かげ平羌江水へいきょうこうすいってなが
夜清渓よるせいけいはつして三峡さんきょうかう
きみおもえどもえずしゅうくだ

峨眉山に半輪の月がかかっている。その月の光は、平羌の江水を明るく映し、水は静に流れてゆく。私はこの 夜清渓を出発して三峡に向かったが、ここではじめて月が見えた。
このあたり、山がつななり特別の時刻でなければ、太陽や月の見えないところというがやがて半輪の月も隠れてし まって、そもまま空しく渝洲を通り過ぎたのであった。