霜は真白く陣屋に満ちて秋の気はあくまで澄んでこの身にしみる。 空には幾列かの雁が鳴き渡り、真夜中の月は皎々と冴えわたっている。 その月明かりのもとに越後、越中の山々、更に今わが手に収めた能登の景色が見渡せる。 ままよ故郷の者達は、吾等遠征の身を案じているだろうが、それを忘れて、心ゆくまでこの絶景をさかなに歓をつくそうではないか。