第二十一回 関西クラウン吟詠家
ジ ョ イ ン ト リ サ イ タ ル
平成十九年八月二十六日 (日) 於:尼崎アルカイックホール 
主催:日本クラウウン関西吟友会
後援:日本クラウン株式会社




八 月 十 五 日
(大野 恵造)
吟:伏尾 琵城・西野 嬢山・赤松 翔景・塩月 水赫
君よ忘れること勿れ国敗れたる日を

海覆り山崩れたる

八月十五日を

同胞は声を失い唯相抱き

相擁して哭けり


吾は想起す終戦の日を

八月十五日を

胸奥先ず宿りしは

兵火熄えたる安堵の念


噫青苔斜陽に翳りて

英霊の墳に生うる

八月十五日を

老若は祷る

戦の惨禍復び招くべからずと
あまりにも大きな犠牲を払って得た平和。
日本に平和の風が吹き始めた。
平 和 の 鐘
(小原 方外)
吟:樋口 勇山・村勧 星冑・井戸 水清・佐々木 秀景
吁嗟鐘が鳴る平和の鐘が

復興日本其の足音

当年原爆何の辺にか落つ

悪夢抛ち来たる争戦の跡

髑髏粛々として鬼火うすづき

累々たる瓦礫我が胸を衝く

復興の広島と長崎と

吁嗟鐘が鳴る平和の鐘が
そして、戦争は終結したものの、雪と氷に閉ざされ 「白い地獄」 と言われたシベリアに収容された兵士達。
シベリア収容所は戦後、スターリン独裁下のソビエトに抑留された六十万の日本人。飢えと寒さと強制労働で七万人が犠牲となった極限状態の収容所であった。
何時、帰れるともわからない収容所で友を、自分を励ましながら歌う望郷の歌は。
異 国 の 丘
(増田 幸治)
歌:二部男性
  (一)

今日も暮れゆく 異国の丘に

友よ辛かろ 切なかろ

我慢だ待ってろ 嵐が過ぎりゃ

帰る日もくる 春がくる

  (二)

今日も更けゆく 異国の丘に

夢も寒かろ 冷たかろ

泣いて笑って 歌ってたえりゃ

望む日がくる 朝がくる
異 国 の 丘
(源 八岳)
吟:森本 旭城・上山 芳瑤・松本 寵山・岡本 エン城・上村善摂・清水 煌岳
誰が唱うか遥かに聞こゆ異国の丘

哀調綿々望郷の情

北風に身を削る同胞の歌

鳥拉山辺日没するの天

耐え忍んで斃るるなかれ異国の丘に

故郷肉親君を待つ事久しと

友を励まし又も唱う異国に丘

歌声天に通じて鬼神をも泣かしむ
戦後、いまだ、南方の島々には累々として英霊の御骨が横たわっているという。
切ない望郷の思いを胸に死んだ戦没者。いまだ、戦争の終結後も故郷に戻れない英霊が。
英 霊 南 よ り 還 る
(松口 月城)
吟:矢間 紫水・小佐野 桂洲・池田 哲星
異郷に骨を曝す十余年

鬼哭啾々誰か憐まざらんや

勇躍會て上る遠征の旅

無言今還る故国の天

戦争の末路何ぞ悲壮なる

涙は迸り胸は迫る英霊の前
風が桜を散らす。縦横無尽に花びらは舞っていく。
その花吹雪の中、国の為に死んでいった多くの英霊が安らかに眠っている九段。
二度と不孝な風が吹くことのないように、と。
九 段 の 桜
(本宮 三香)
吟:渡辺 緑翔・安福 緑玲・西岡 緑春
至誠烈々乾坤を貫く

忠勇の誉は高し靖国の門

  御国を思う一筋に

    戦いの庭に咲き出でて

     名残を惜しまず 散る桜

       操は永久に香ぐわしき

  靖国の宮に御霊は鎮まるも

      折々帰れ母の夢路に

花は九段に満ちて春海の如し

香雲深き処英魂を祭る
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