第二十一回 関西クラウン吟詠家
ジ ョ イ ン ト リ サ イ タ ル
平成十九年八月二十六日 (日) 於:尼崎アルカイックホール 
主催:日本クラウウン関西吟友会
後援:日本クラウン株式会社




かくて明治の風は吹き去った。

大正デモクラシーの時代となり、民主的な政治を求める声が盛り上がってきた。
普通選挙法が成立し、女性が積極的に社会に進出するようになったのもこの時代である。
そして、この時代の大きな事件は大正十二年九月一日に起きた関東大震災であった。
関 東 大 震 災
(池田 聴風)
吟:北川 哲水・縄本 東嶺
憶う昔大正十二年

九月の帝都秋天に満つ

突如の異変四辺に及び

震動は休ず塵煙あがる

猛火炎炎として市廛を襲う

日は落ち頽屋陌上に連なる

死者は累々として正に凄然たり

児は存し母を呼ぶ今に至りて憐れむ
震災によって尊い人命が失われたが、混乱が収まってくると人々は逞しく復興に立ち上がり、政府も復旧でなく復興計画と位置づけ新しい東京を造り替える事に着手。そして待ちに待ったラジオ放送が大正十二年に開始された。
 
昭和になっても出口の見えない不景気の風が吹くどん底の中にあって、大日本帝国は出口を中国大陸に求めていった。
日中両国は戦争意外に解決の道のない対立に巻き込まれ、満州事変、上海事変、北支事変、支那事変と十五年間にわたるアジアの悲劇が始まるのでした。
また政治家や実業家が暗殺される事件が多発。1932年五月十五日、政府に不満を持つ青年将校らにより犬養首相が暗殺され、これをさかいに日本には軍国主義の風が吹き荒れた。

「只今より歩兵第三連隊第六中隊は昭和維新の行動を開始する」

1936年二月二十六日の明け方。

「岡田総理をうちとったぞ」
「斎藤大臣、天誅」
「高橋是清、天誅」
「渡辺錠太郎、討ち取り」
「我々の決意の趣旨は陸軍大臣を通し、天皇陛下のお耳にたっせられた。昭和維新は断行される。」
「おう!」

しかし、昭和天皇は激怒され、奉勅命令を出し、鎮圧に乗り出した。
昭和維新の風は吹くこと叶わなかった。
二 二 六 事 件
(池田 聴風)
吟:藤本 花山・金子 梅霞
二月紛々として

     百羅有り

雪は飛ぶ払暁

     廟堂危うし

維新は夢の如し

     将兵の計

決起更に空し

     惟癡を悟る
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