慈母手中線

遊子身上衣

臨行密密縫

意恐遅遅歸

誰言寸草心

報得三春暉
若者は青雲の志を抱いて故郷を後にします。
都へ上り一生懸命勉学に励み、試験に合格し、立派な職に就いて故郷へ錦を飾る。苦労を掛けた親に孝養を尽くす。それが多くの若者達の夢でありました。
母は出立する我が子の衣を一針一針心を込めて縫います。
還って来るのはいつの日か、遅くはなりはしないか、ひょっとしたらもう会えないのではないか。
そんなことを思いながら
母の暖かい愛情に子は果たして報い得るのであろうか
   遊 子 吟
           
猛 郊

慈母手中の線

遊子身上の衣

行くに臨んで密密に縫う

意は恐る遅遅として帰らんことを

誰か言う寸草の心の

三春の暉に報い得んとは