私は私達の祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざ して、日本の国をおはじめになったものと信じます。
そして、国民は 忠孝両全の道を完うして、全国民が心を合わせて努力した結果、 今日に至るまで、美事な成果をあげて参りましたことは、もとより日
本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、私は教育の根 本もまた、道義立国の達成にあると信じます。
国民の皆さんは、子は親に孝養をつくし、兄弟、姉妹はたがいに 力を合わせて助け合い、夫婦は仲むつまじく解け合い、友人は胸
襟を開いて信じあい、そして自分の言動をつつしみ、すべての人々 に愛の手をさしのべ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、
人格をみがき、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また法律 や秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心
をささげて、国の平和と、安全に奉仕しなければなりません。
そして、これらのことは、善良な国民としての当然のつとめであるば かりでなく、また、私達の祖先が、今日まで身をもって示し残された
伝統的美風を、更にいっそう明らかにすることでもあります。
このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私達子孫の 守らなければならないところであると共に、このおしえは、昔も今も
変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国に行っても、 まちがいのない道でありますから、私もまた国民の皆さんとともに、
祖父の教えを胸に抱いて、立派な日本人になるように、心から念 願するものであります。
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