「袖ひぢて
結びし水の 氷れるを 春立つけふの 風やとくらむ」 |
「春日野の
若菜つみにや 白妙の 袖ふりはへて 人のゆくらむ」 |
「梓弓
春の山bを こえ来れば 道もさりあへず 花ぞ散りける」 |
「白露も
時雨もいたくも ある山は 下葉残らず 色づきにけり」 |
「別れてふ
ことは色にも あらなくに 心にしみて わびしかるらむ」 |
「むすぶ手の 雫に濁る
山の井の あかでも人に 別れぬるかな」 |
「春霞 たなびきにけり
久方の 月の桂も 花やさくらむ」 |
「逢坂の 関の清水に
影見えて いまやひくらむ 望月の駒」 |
「思ひかね 妹がり行けば
冬の夜の 川風さむみ ちどり鳴くなり」 |